自由な人生を謳歌する純粋無垢な旅人
対応する天体:天王星
対応するエレメント(四大元素):風
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
旅人は崖側に立ち、背後には太陽が輝いています。
これは旅人がこれより先に進むか、あるいは引き返すか、岐路とも呼べる重大な選択を迫られている場面と解釈できるでしょう。
また、頭上の太陽は同じく大アルカナの一枚でもある『19番 太陽(THE SUN)』に関連していると考えられます。
これは、この旅人の旅路が大いなる力に守られ、祝福されていることを意味しているようです。
衣装や小物
旅人は華やかな衣装を身にまとい、手には白いバラと荷物と思しき小さな袋を棒にくくりつけています。
豪華絢爛な装いから、このカードに描かれている旅人はもともと高貴な身分の出身なのでは?とも考えられているようです。
未知なる世界へ飛び出していく恐怖よりも、期待や好奇心が勝っている状態だからこそ、たとえ必要最小限の荷物で崖っぷちを歩んでいようと、不安を感じることなく朗らかにいられるのでしょう。
また、彼が手に持つ白い花は、純粋無垢な心の象徴でもあります。
聖母マリアや天使の肖像と共に描かれる白い百合や白いバラからも、その意味が見て取れます。
さらによく見ると、旅人は腰に不思議な模様のベルトを巻いていることがわかります。
このベルトに描かれているモチーフは黄道十二星座のマークです。
このことから旅人は星座の世界を、ひいてはタロットカードの物語の中を旅する存在であることがわかります。
人物と共に描かれているもの
旅人の足元には白い犬が描かれています。
彼は旅人の忠実な相棒でもあり、旅人の身に危険が迫った場合には警告を発する存在でもあります。
現に、足元が見えてない旅人に対して、このまま進めば崖から転落しかねないと吼えて注意を促しているようにも見えます。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・常識や固定観念にとらわれない、その人自身が持つ純粋かつオリジナルな価値観
・無限の可能性
・自分の意思や希望を反映した自由な生き方
・斬新なアイデアやオリジナリティにあふれた発想
・チャンスを掴む
Negative(逆)
・やりたいことも行きたい場所もなくふらふらとさまよい続ける
・その日暮らしで将来の見通しもない状態
・帰属するコミュニティや安心できる居場所がなく孤独にさいなまれる
・気まぐれかつ無責任な振る舞いで周囲からの信用を失う
解釈の一例
恋愛
+ 新たな出会い、自然体の恋愛、親友のように対等で気安い関係、既存の価値観や常識に縛られない恋愛観
− 遊びの関係、どっちつかずの態度、恋愛関係にだらしのないパートナーもしくは自分自身
仕事
+ 転職やヘッドハンティング、前例のないアイデアや斬新なインスピレーション、フリーランスなど組織に縛られない自由な立場で働く
− 知識もスキルも責任感も足りていない状態、荷が重い仕事、目的意識や向上心がなく惰性で働き続ける
状況・性質
+ 我が道を貫く、自由、未知の世界への期待、偶然で幸運やチャンスを勝ち取る、楽観主義、純粋無垢
− 現実逃避、問題から目を背ける、流されやすい、気まぐれ、面倒くさがり、協調性がない
解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。