破壊と再生を経て生まれ変わる魂
対応する星座:さそり座
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
死神と思われる鎧をまとった骸骨の背後には大きな川が流れ、一艘の船が浮かんでいます。
さらに、川の向こうには二つの塔がそびえ立ち、塔の間から朝日が昇っているのが見えます。
大きな川を渡る船は魂を運ぶための船とも言われています。
『死神』のカードに描かれた船は、魂を乗せて川を渡り、さらに滝を登って二つの塔を目指すと言われています。
ギリシャ神話に登場する冥界の河ステュクスや、三途の川をイメージするとわかりやすいかもしれません。
大アルカナ2番『女教皇(女司祭)』や18番『月』にも描かれているように、二つの塔は我々が暮らす俗世と、神々が管轄する神秘的な領域の境界線を意味します。
要するに、塔の向こう側はいわゆる彼岸であると解釈できるのです。
塔の間から昇る太陽が、それを物語っています。
西洋絵画、特に宗教画における太陽は教会、ひいては世界を照らす光りであり、キリストそのものでした。
つまり、太陽まで辿り着いた魂はそこで消滅するのではなく、不滅の存在として復活するとも考えられるのです。
衣装や小物
死神は頭に羽のついた兜と鎧を身にまとい、手にはバラが描かれた黒い旗を持っています。
兜についた赤い羽は、大アルカナ0番『愚者』の帽子にも見られます。
さらに、旗に描かれている白いバラも、愚者が手に持っているバラと同じものです。
このことから、死神は愚者が同一人物であるとわかります。
人物と共に描かれているもの
死神がまたがっている白い馬の周囲には、僧侶と思しき男性や白い服を来た女性をはじめ、何人かの人物が描かれています。
この男性は大アルカナ5番『法王(司祭)』、白い服の女性は8番『力』とする説が有名です。
さらに、白馬は『死神』だけではなく、大アルカナ19番『太陽』にも描かれています。
このことから『死神』は『太陽』の対となるカードで、お互いを補完し合う存在という説もあるようです。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・破滅する運命さえも受け入れる
・衝撃的な体験を経て復活を果たす
・これまで培ってきた哲学や価値観が覆る
・今の自分にふさわしいステージへ上がる、進化する
Negative(逆)
・ままならない現状にしがみつく
・好転する兆しが見えない、膠着状態
・痛みや苦しみを無闇に長引かせる
・過去にとらわれ前進を放棄してしまう
解釈の一例
恋愛
+ 次の恋へ進む、パートナーとしての関係を解消する、割り切り、盛り上がりに欠ける恋、冷めた愛情
− 復縁、再婚、秘めた恋、望みはなくとも諦めきれない状況、腐れ縁、未練が残る、トラウマや心の傷が癒えない
仕事
+ 転職、失業、異動、転勤、新たな環境に飛び込む、帰路に立つ、決断の時が迫っている、方針を変える
− 出戻り、再雇用、再就職、リストラ、かつての地位や役職にしがみつく、改善が見られない
状況・性質
+ 転勤、卒業、別離、引っ越し、過去を振り返らない、新たなスタートを切る、一から関係を構築する
− 中途半端、堂々巡り、同じ失敗を繰り返す、後味の悪い結末、諦めきれない、再挑戦、留年
解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。