公平、公正、対等を司る女神
対応する:てんびん座
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
二本の柱を背に女性が座っている構図は、大アルカナ2番『女教皇(女司祭)』や5番『法王(司祭)』を連想させます。
灰色の柱は『法王(司祭)』、柱の間に渡された幕は『女教皇(女司祭)』にも見られました。
灰色の柱は現世と天国、俗世と聖域の境界を示しています。
おそらく幕の先に広がる領域は、誰でも気軽に足を踏み入れることのできる場所ではないのでしょう。
聖域の向こう側ではなくこちら側にいることから、女性が神や人智の及ばぬ存在ではなく、我々と同じ人間であることがわかります。
衣装や小物
カードに描かれている女性は赤い服に袖を通し、右手に天秤、左手に剣を持っています。
赤い服は枢機卿をはじめ、イギリスやドイツの裁判官など、とりわけ重要な判断を下す人が身につけている場合が多いです。
また、天秤と剣はギリシャ神話に登場する女神アストレイアや、ローマ神話の女神ユースティティアの象徴です。
アストレイアとユースティティアは同一視されることも多く、ギリシャ神話の女神であるテミスやティケーと共に正義を司る女神として知られています。
女性の持つ剣の刀身が青く描かれていることからも、彼女が神聖な力により裁きを下していると解釈できます。
西洋絵画における青は神聖や平和、冷静などを象徴し、聖母子像や聖母マリアの衣装にも頻繁に使われる色です。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・物事を合理的かつ正当に評価する
・主観や私情を排し、客観的な視点から判断する
・公平な判断ができる精神状態
・感情と理性のバランスがとれている
Negative(逆)
・個人的な感情や偏見などのバイアスがかかっている状態
・法律や倫理ではジャッジできない状況
・不当な扱いを受ける
・反道徳的な行い
解釈の一例
恋愛
+ 対等な関係、つり合うパートナー、好きでも嫌いでもない、必要以上に干渉しない、自立した精神性のうえにもとづく恋愛
− 打算ありきの関係、キープ、対等には付き合えない相手、値踏みする、都合のよいときだけ甘える
仕事
+ 正当な評価や待遇、報酬に見合った結果、責任をもって仕事にあたる、ビジネスとプライベートの両立
− 不当な評価、不公平な待遇や職場環境、手柄を奪う、言い訳、責任ある仕事や難易度の高い仕事を避ける
状況・性質
+ ギブアンドテイク、ビジネスライクな付き合い、中立、平等、冷静、論理的、法律に則った措置
− バランスが崩れる、利益重視の関係、偏った思考、私情を挟む、えこひいき、独善的、狡猾
解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。