艱難辛苦の果てに見出すひと筋の光明
対応する惑星:海王星
対応するエレメント(四大元素):水
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
男性が吊るされている木には緑の葉が生い茂っています。
どうやら男性は刑罰や拷問のために作られた道具ではなく、生きている木に吊るされているようです。
一説には、この木はタウ十字をあらわしたものではないかと言われています。
タウ十字とは預言者であるモーセが用いたという最も古い十字架で、その名の通りギリシャ文字とヘブライ文字の「T(タウ)」をかたどっています。T(タウ)は善の心や真実、言葉などを意味する言葉です。
また、北欧神話の最高神であるオーディンがルーン文字を解読するため世界樹ユグドラシルの枝に九日間も首を吊ったという逸話から、カードに描かれている男性はオーディンをモデルにしているのではないかという説もあります。
このことから男性はただ単に責め苦を受けているわけではなく、何らかの目的や信念をもって木から吊るされているのだと解釈できます。
衣装や小物
吊るされた男性は上半身に青、下半身に赤い服をそれぞれ身につけています。
西洋絵画における青は神性や理性、赤は情熱や本能などを象徴する色です。
相反する色のようにも思われますが、この男性が確かな理性と情熱を胸に秘め、崇高な使命を果たそうとしていることがうかがえます。
後光さしたように明るく照らし出された表情も、苦痛を耐え忍んでいるというよりは、むしろ恍惚としているように見えます。
このことから吊るされた男性は、自らすすんで身を差し出したのだとわかります。
また、男性は両手を背後に回し、両足を数字の4のような形に組んでいますが、このポーズはタロットカードおよびタロット占いの誕生に深く関係している魔術結社『黄金の夜明け団(ゴールデンドーン)』のシンボルをあらわしているのではないかと言われています。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・ままならない現状を受け入れる、内省する
・不安や恐怖が凪ぎ、冷静な判断力を取り戻す
・慌ただしい日々の中でじっと立ち止まる時間をもつことで新たな視点に気がつく
・現状を打破するチャンスをうかがう、じっと好機を待つ
Negative(逆)
・自分の限界や苦しい現状を受け入れられない
・もがくほど事態が悪化する
・気持ちが焦るあまり視野が狭まる、自分のことしか考えられなくなる
・次のステージへ進もうにも踏ん切りがつかず、その場に立ち往生してしまう
解釈の一例
恋愛
+ 尽くす恋、悔恨の残る恋愛、進展が見られない、頭を冷やす時間が必要、あえて一人で過ごす時間を設ける
− 辛抱を強いられる恋、諦めがつかずいつまでも続く片思い、自己中心的な恋心で相手を振り回す、執着心
仕事
+ 正当な滅私奉公、見返りを期待せず働く、試練に直面する、キャパシティの限界を越える、心身を消耗する
− 目先の報酬や利益にばかりこだわる、目の前の問題や課題から逃げることばかり考える、自分の持つ権利や権力を振りかざす
状況・性質
+ 自己犠牲の精神、孤独、反省、ストイックに自分を追い込む、一人の時間を持ちたい、手も足も出ない状況
− 周囲に迷惑をかける、虚勢、悪あがき、自虐的な態度や行動、孤独を恐れる、現実を受け入れられない
解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。