夜明け前にもたらされるひとときのやすらぎ
対応する星座:魚座
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
空高く浮かぶ月には横顔が描かれていますが、その表情はどこか物憂げで、なにごとか思い悩んでいるようにも見えます。
また、月には三日月、半月、満月それぞれのフェーズが描き込まれており、満ち欠けするさまを表現しています。
月から降り注ぐヨッドは大アルカナ16番『塔』に描かれているものと同じく、神の恩寵のシンボルです。
さらに、月の両側には白い塔がそびえ立ち、塔の向こう側には青い山脈が連なっています。
この塔は大アルカナ2番『女教皇(女司祭)』や大アルカナ13番『死神(死)』で描かれているものと同じく、我々人間が生きる現世と、神々や霊的存在が棲まう幽世の境界線です。
その先の大地や山々が青く塗られているのも、そこが我々の踏み入ることのできない未知の世界であることを示唆しているのです。
これらの要素からは先の見えない未来や道の世界への不安だけではなく、不安に駆られているときこそ心を落ち着け、神の采配を待つべしという教訓までをも読み取ることができます。
人物と共に描かれているもの
カードの手前には、地上から月に向かって吠える二頭の犬もしくは狼が描かれています。
犬(狼)は本能の象徴であり、理由のない不安や直感的な恐怖を意味します。
さらに、湖から這い出たザリガニが二頭の犬(狼)の背後まで迫っています。
このザリガニこそが得体の知れない不安や恐怖心の象徴であり、普段我々が意識しない心の海の奥底から顔を覗かせては、生存本能を脅かすのです。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・まやかしやバイアスが消え、実態があらわになる
・真実が白日のもとに晒される
・夜明けが近づき、不安や恐怖がやわらぐ
・目覚めの時を迎えると同時に、さまざまな気付きを得る
Negative(逆)
・謎めいて本質が見えない
・不安をかき立てられる
・嘘や秘密の影に大事なものが隠れている
・真実から目を背け、現実逃避を試みる
解釈の一例
恋愛
+気持ちが冷める、嘘を見抜く、秘密にしていた関係が露呈する、相手の本質を知る
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解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。