未来を切り拓く可能性はいつでも手の中に
対応する星座:水瓶座
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
カードの背景にはひときわ大きな黄色い八芒星と、その周囲を取り囲む小さな白い八芒星が描かれています。
この大きな星はシリウスといわれており、古代エジブトの時代には航海の道標とされた星です。
一方で周囲を取り囲む小さな星が意味するところは、四大元素や天界、霊的な力の象徴など諸説あるようです。
また、星はそのひとの持つ魅力や潜在能力なども意味します。
このことから『星』は輝かしい未来へと導く道標であり、そのひとの内側からあふれんばかりの力強い光を放つ才能の示唆であると読み取ることができます。
衣装や小物
カードの手前に描かれた女性は両手に水瓶を持ち、池と地面に水を注いでいるように見えます。
女性はただの人間ではなく、大アルカナ2番『女教皇(女司祭)』や大アルカナ3番『女帝』に描かれている女性と同様に地母神と解釈できます。
ただし、『星』に登場する女神に豪華な衣装や装飾品はなく、一糸纏わぬ姿で描かれています。
これは大アルカナ16番『塔』で受けた衝撃によりあらゆる権力や財産、果ては常識や固定観念までもが取り払われ、魂が剥き出しの状態であることを意味します。
女神が持つ水瓶は生まれ持った才能であり、何もかもを失ってなお最後に残る希望の象徴でもあるのです。
また、女神は星(=天界)と地上とをつなぐ架け橋とも解釈できます。
女神は地面だけではなく池にも水を注ぎ込んでいることから、単純に池から汲み上げた水を地面に注いでいるだけとは考えにくいでしょう。
むしろ天にかわって生命の源である水を恵み、地上を豊かにしていると見るのが妥当です。
つまり天と地を媒介する女神が地上に水を注ぐ様子を描くことで、天の御心が地上で成される=思考が現実化することを示唆しているとも考えられるのです。
また、地面に注がれた水は五本の水流に分かれていることから、五感を意味するともいわれています。
人物と共に描かれているもの
女神の傍らには木にとまる鳥が描かれています。
この鳥は古代エジプト神話に登場する鳥アイビス(イビス)で、知恵の神トートの化身でもあります。
一方で、星のカードそのものが明るい予兆や希望を示唆する性質が強いことから、夜明けを告げる鳥と解釈する占者やタロティストもいるようです。
夜明けが訪れる=問題解決の兆しが見えるとも読み解けるでしょう。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・理想や目標に至る道程を歩む
・惜しみない愛情を注ぐ
・憑きものが落ちたように晴れやかな心持ちになる
・心身のコンディションが整う
Negative(逆)
・高い理想や志がそのまま深い失望へと変わる
・分不相応な目標を掲げる
・間違った努力を重ねてしまう
・せっかくのチャンスがお流れになってしまう
解釈の一例
恋愛
+ 希望にあふれた恋、無性の愛、進展する、理想の恋人、憧れの的、見目麗しい人
− 高望みしすぎる恋、自惚れ、悲観的、気持ちが追いつかず恋愛に積極的になれない
仕事
+ 才能を発揮する、期待の星、先見の明、目標が見つかる、ベストコンディション
− 失敗する、不採用、ミス、見通しの甘さ、目標を見失ったまま仕事に追われる、無駄な努力
状況・性質
+ 誠実、純真、健全な友情、人との交流を通して癒される、ひらめき、発見、健康、回復
− 実りのない人間関係、不純な関係、無味乾燥、浪費、不健康、希望がない、楽しめない
解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。