真理を追い求める孤独な探究者
対応する星座:おとめ座
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
隠者の足元には白い雪が積もっています。
カンテラや杖を持っていることから、老人のいる場所は雪深いだけではなく、明かりがなければ先が見通せないほど薄暗く、杖がなければ歩けないほど険しい場所なのかもしれません。
このことから隠者はあえて人を寄せ付けない環境に身を置き、孤独の中で自らを見つめ直そうとしていると解釈できます。
衣装や小物
カードに描かれている隠者は灰色の衣装を身にまとっています。
大アルカナ5番『法王(司祭)』にもあるように、灰色は自らの思考や行動を悔い改めようとする謙虚な心を象徴する色です。
この色のローブを頭からすっぽり被り、全身を覆い尽くしてしまっている隠者は、俗世から遠く離れた場所で、ひとり内省に耽っているようにも見えます。
また、隠者は足元を見つめるようにうつむいているにもかかわらず、カンテラを高く掲げています。
このカンテラは俗悪なものを退ける魔除けとしての意味を持つという説もあれば、外から来た人間に隠者の居場所を知らせるための目印であるという説もあります。
雪深い山奥にこもっていながら、なぜ自ら明かりを灯すのか?
これは俗世に交わるつもりはないけれど、心の内に秘めた孤独や自らの存在を誰か気付いてほしいという、隠者の葛藤や矛盾あらわれなのかもしれません。
人物と共に描かれているもの
隠者が持つカンテラの中には六芒星が輝いています。
六芒星は日本では「籠目」、インドでは「ヴィシュヌの封印」と呼ばれ、どちらも魔除けとしての意味合いを持ちます。
「カンテラ=悪しきものを遠ざけるお守り」という解釈が生まれたのも、このような理由があるのかもしれません。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・自らの内面を見つめ直すため、あえて孤独の中に身を置く
・あらゆる知識を会得し、悟りの境地に達した人
・人々の尊敬を集め、導き手としての役目を担う
・たとえ孤立しても理想や信念を追い求める
Negative(逆)
・過去の栄光にすがり、現実から目を背ける
・誰にも理解されないと心を閉ざし、ますます孤独が深まる
・こだわりが強すぎて周囲に馴染めない
・手に入らなかったものを過度に理想化し、幻想を追い続ける
解釈の一例
恋愛
+ 秘めた情熱、長い片思い、精神的に成長できる恋愛、落ち着きのある関係、年上のパートナー、
− 恋に恋している状態、過去の恋愛や恋人を引きずる、終わった恋を美化するあまり復縁を夢見る
仕事
+ ベテラン、専門家、研究職、精神的な成長や充足感が得られる仕事、部下や後輩を率いる立場
− 無職、社会や組織に馴染めない、意見やアドバイスを聞き入れられない、立場やプライドを守るため他者を貶める
状況・性質
+ 信念を貫く、世間の風潮や流行に流されずやりたいことをやる、博識な人、よき相談相手、旧知の友
− こだわりが強すぎる、周りに気を遣わせる、内気な人、気難しい性格、人目を気にしすぎて信念を全うできない
解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。