組織の頂点に君臨する王
対応する星座:おひつじ座
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
皇帝の背後には岩肌が剥き出しになった険しい山がそびえ立っています。
これは野心と実力がなければ生き残れない、厳しい競争社会を暗示していると考えられます。
また、山のふもとには川が流れている様子が見て取れますが、これは大アルカナ3番「女帝」に描かれている川とつながっているのでは?という説もあるようです。
しかしながら、女帝のカードに比べると川幅が狭く、流れる水の量も少ないように見えます。
これは感情や雰囲気に流されず、あくまでも冷静かつ理論的に決断を下すという意志をあらわしていると解釈できます。
衣装や小物
皇帝は赤い衣装と甲冑を身にまとっています。
赤は情熱や闘争心、生命力などの象徴です。
また、甲冑を身につけていることから、皇帝は人々を率いる立場でありながら、必要とあれば自ら戦場に赴く覚悟を固めているとわかります。
さらに、皇帝の頭には冠、右手にはアンク十字を模した王笏、左手には宝珠を携えています。
大アルカナ3番「女帝」にも描かれているように、冠と王笏、宝珠はレゲーリアと呼ばれる王位の象徴する道具です。アンク十字は古代エジプトより魔除けのシンボルとして伝わってきました。
このことから皇帝は特別な権力を持つ存在であり、人々や社会を統治する立場であると解釈できます。
人物と共に描かれているもの
皇帝は羊の頭の飾りがついた玉座に腰掛けています。
皇帝のカードは牡羊座と、その支配星である火星に呼応するカードです。
牡羊座は十二星座の始まりの星座であり、新たな物事をスタートするときの勢いや誕生を司っています。
さらに、火星はギリシャ神話の戦いの神であるアレスを象徴する天体です。
まさに厳しい争いの中に身を置く皇帝にふさわしいシンボルと言えるでしょう。
また、皇帝が座る玉座は石で出来ており、簡単に動いたり揺らいだりしません。
さらに、皇帝の頭上に書かれたローマ数字「Ⅳ」は、単純にカードの番号を示しているだけではなく、正義感の強さや安定感、慎重かつ論理的な思考などを意味します。
このことから、皇帝は簡単に玉座から下りたり動いたりできるほど身軽な立場ではないものの、かわりに揺るぎない安定感をもった厳格な人物であると解釈できます。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・人々をまとめ上げ、組織を安定させる
・組織を動かしながら、自らの義務や責任も同時に果たす
・コミュニティの結束を強めるのに一役買い、周囲から称賛される
・コミュニティを統率する立場にふさわしい器となるため努力を重ねる
Negative(逆)
・権力や暴力により他人をコントロールしようとする
・周囲の意見を聞き入れず、独断専行する
・思慮や配慮が足りずコミュニティを破綻に導く
・表面的な浅い人間関係、他者との間に信頼を築けない
解釈の一例
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解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。