自らの意思で選択できることの幸福
対応する星座:ふたご座
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
恋人たちの背後には二本の木が立ち、遠くには山がそびえ立っているのが見えます。
二人が裸でいるにもかかわらず恥じらいを覚えていないように見えることや、女性の背後にある気に蛇がからみついていることから、このカードはエデンの園にいるアダムとイブではないかと考えられています。
旧約聖書『創世記』によると、エデンの園には知恵の木と生命の樹という二つの木が並んで植えられているといいます。
知恵の木の実を食べると善悪の判断がつくようになり、生命の木の実を食べると神にも等しい永遠の命を得られます。
神はアダムとイブに対し、エデンの園に実るあらゆる果実を食べてもよいとする一方、知恵の木の実だけは食べることを禁じていました。
しかし、楽園の蛇がイブをそそのかして知恵の木の実を食べさせ、さらにアダムまでイブのすすめで知恵の木の実を口にしてしまいます。
こうして二人は楽園を追放され、神は人間が永遠の命を得ることがないよう、生命の樹を剣と炎で守るようになりました。
遠くに見える山は、楽園を追放された二人に困難な道のりが待ち構えているという示唆であるとも解釈できるでしょう。
衣装や小物
カードに描かれている恋人たちは裸ですが、その表情に羞恥や困惑は感じられません。
これは単純に知恵の木の実を食べる前の状態で、善悪の区別がつかないから恥じらいを感じないのだとも考えられますが、二人の心が純粋で屈託がなく、裸でいることを恥ずかしいと思わないほどお互いに夢中になっているのだとも解釈できます。
ま二人は明日の生活について思いわずらったり、未来に待ち受ける死の恐怖に怯えたりすることなく、開放的な気持ちで人生を謳歌することのできる、まさに楽園のような状況を満喫しているのです。
人物と共に描かれているもの
カードに描かれた絵の中では、向かい合う恋人たちを天使が見守っています。
この天使はミカエルともラファエルとも言われていますが、いずれにせよ二人を守る大いなる存在であることに違いはありません。
自分たちよりも大きな存在の庇護されているという安心感の中で、二人は思う存分お互いへの愛に没頭できるのです。
しかしながら、男性は女性を見つめているのに、女性は天使を見上げていることから、二人の心は必ずしも通い合っているとは言いがたいようです。
人生の岐路に立たされたり、判断に迷ったりするとき、人は神社や教会を訪れたり神に祈ったりします。
カードの中の女性も目の前の男性を見つめるより、大いなる存在にうかがいを立てることで、自らの選択が正しいことや未来が明るいことを確認したいのかもしれません。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・自分では制御できないほど強く心を惹かれる
・自ら選択する
・夢見心地になるほどの快楽
・他人がいるからこそ生まれる快感と満足感
Negative(逆)
・束の間の幸福や快楽に溺れる
・本来なら追うべき責任を放棄する
・気まぐれ、刹那主義的な生き方
・背負うものがないからこそ生まれる独りよがりな快感
解釈の一例
恋愛
+ 恋の訪れ、若さや美しさなどのわかりやすい魅力、快感を重視する恋愛、相性のよいパートナー
− 遊びの恋、移り気、浮気、三角関係、誘惑、倫理的・道徳的・社会的に認められない関係や欲望
仕事
+ ビジネスパートナー、交渉や契約の成立、共同開発、クライアントに恵まれる、連帯感、楽しい仕事
− 注意力散漫、ケアレスミス、腰掛け、天下り、手抜き仕事、自分にフィットしない業務や職場環境
状況・性質
+ 遊び心、フレンドリー、気分転換、楽しいひととき、不安やモヤモヤした気持ちが晴れていく
− 誘惑、出来心、シャイ意地っ張り、いい加減、無責任、改めるべき習慣、徒労に終わる
解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。