弱さや脆さを包み込む『バーのママ』
天王星、冥王星と同じくトランスサタニアンのひとつである海王星は、自分という『会社』とは距離をとりつつも、本人も自覚しないような意識の深層に近い部分へ、確実に影響を及ぼしてきます。
たとえるなら、行きつけにしているバーやスナックのママのようなポジションです。
お酒を飲む習慣がない人は、お気に入りのカフェのマスターや定食屋の大将に置き換えたほうが分かりやすいかもしれません。
会社(現実)という枠組みから離れたときの自分、人には見せられない脆く繊細な一面が、海王星の管轄なのです。
また、海王星には『増幅』という性質があり、その人のもつ美質が強調されますが、増幅しすぎることによる弊害も生まれます。
その点は、美味しいけれど飲みすぎると害を及ぼすお酒に似ているかもしれません。
自分の中に住むママの振る舞うお酒がどんな味なのかを知っていれば、自分の美点と欠点を、同時に理解できるでしょう。
ただし、海王星が発見されたのは1864年、ひとつ隣の星座に移るまでおよそ14年ほどかかります。
そのため、一部の星座にあてはまる世代は既に亡くなっている、もしくはまだ生まれていない場合があります。
まずは自分が生まれた日の海王星をチェック!
海王星についてはこちらの記事でも触れています。
おひつじ座
海王星は1861~1875年、そして2025~2039年のあいだ、おひつじ座に入るとされています。現在、おひつじ座に海王星が入っている人はいないでしょう。おひつじ座のママはその人のもつ『感情』を増幅させる傾向があります。喜怒哀楽やテンションの上がり下がりがはっきりしており、調子が良いときはどこまでも激しく燃え上がりますが、逆にひとたびマイナス思考に陥ると、どこまでも深く沈み込んでしまう極端な一面があるようです。
おうし座
海王星がおうし座に入っていたのは1874~1887年のあいだです。2038年以降に再びおうし座へ入るとされているため、現在おうし座に海王星が入っている人はいません。おうし座のママはその人の美意識や芸術的なセンスを拡大してくれます。一方で、美しいものや上質なものに対する渇望をつのらせるという側面もあるようです。自分の好きなものだけに囲まれた生活に憧れますが、いざ望んだものを手にすると、今度はそれらを失たくないあまり、極端に執着してしまいます。
ふたご座
海王星がふたご座に入っていたのは1887~1901年のあいだです。2051年以降に再びふたご座へ入るとされています。そのため、ふたご座に海王星が入っている世代が生まれるのは、しばらく先のことです。ふたご座のママはその人のもつ語彙力や表現力を引き出すのが得意です。卓越したコミュニケーション能力によりチャンスを得たり、強力な支援者と縁がつながったりする場合もあるでしょう。しかし、そうして築き上げた人脈を失うことに、強い恐れを抱く傾向もあるようです。
かに座
海王星がかに座に入っていたのは1901~1915年のあいだです。そのため、かに座に海王星が入っている世代はそう多くないでしょう。かに座のママは家族や仲間との絆を重んじ、共同体意識を強めてくれます。特に母性が強調されることから、共同体において母のように人々を保護したり、何くれとなく世話を焼く立場に回ったりすることでしょう。しかし、理論よりも感情を優先するあまり、周囲にも同調を求めたり、激しい感情をそのままぶつけたりしてしまうかもしれません。
しし座
海王星は1914~1928年のあいだ、しし座に留まっていました。しし座のママは無邪気さや遊び心など、その人のもつ遊び心を引き出してくれます。毎日が『自分』という物語の主人公を演じる舞台になり、ドラマチックで飽きのこない人生を送ることができます。しかし、しし座のママが振る舞うお酒は、飲みすぎると文字通り自分に酔ってしまうのです。その結果、余計な見栄やプライドが先行し、かえって人望を失う可能性があります。
おとめ座
海王星は1928~1943年のあいだ、おとめ座に留まっていました。おとめ座のママは世の中をより良くしたい、人の役に立ちたいという奉仕精神を引き出します。実際、懸命に奉仕を重ね、確実に実績を積み上げていくことで、夢や目標を達成するでしょう。理想を追うばかりではなく、現状を分析する能力にも長けていますが、完璧主義が行き過ぎて批判的・差別的な思考に陥ってしまう危うさもはらんでいます。
てんびん座
海王星がてんびん座に留まっていたのは、1943~1956年のあいだです。てんびん座のママは、その人の社交性を引き出し、調和のとれた人間関係の輪をどんどん広げていきます。他者に対する偏見や差別的な思考はほとんど持ち合わせていません。多様な価値観を寛容に受け入れることができる、公平な精神の持ち主です。一方で、他者に対する期待が大きすぎて、人の意見を唯々諾々と受け入れるだけの、主体性がない人生を歩んでしまう傾向があります。
さそり座
海王星がさそり座に留まっていたのは、1956~1970年のあいだです。さそり座のママはその人の持つ直観や洞察力など、第六感的な部分に働きかけます。そのため、心理学や神秘学に興味を持つ人が多いようです。ただし、懐疑主義的な面があるため、胡乱な宗教やスピリチュアリズムに取り込まれることはほとんどありません。一方で、疑い深い性質が裏目に出て、人間関係をうまく構築できないシーンも多いようです。また、感銘を受けた人や物事に対しては、狂信的とも呼べる異常な執着を見せることがあります。
いて座
海王星がいて座に留まっていたのは、1970~1984年のあいだです。いて座のママは、その人の持つ夢見る心と、夢を実現するための行動力を増幅させます。ただし、この人の見せる夢は決して非現実的な幻想ではなく、今いる場所よりももっと遠くて広い世界への憧憬や期待です。自由を愛し、自らも身軽でいることを求めます。しかし、憧れが先行しすぎて、現実を正しく把握できなくなることもあるようです。本人は楽観主義的で、自分が危なっかしい生き方をしているという自覚は希薄です。
やぎ座
海王星がいて座に留まっていたのは、1984~1998年のあいだです。やぎ座のママは現実を冷静かつ的確に把握できる観察眼と、競争社会を渡り歩いていくに足るだけの計画性と判断力、実務能力を与えます。地道ではあっても、堅実に夢を叶えていく集中力と忍耐力を持ち合わせている人です。この人は平穏な生活を維持するだけでは飽き足らず。それこそ社会を動かしてしまうほどに壮大な夢を抱きます。しかし、社会的な地位や肩書きに執着しすぎて、モラルや人情を無視してしまう傾向も見られるようです。
みずがめ座
海王星がみずがめ座に留まっていたのは、1998~2011年のあいだです。みずがめ座のママは、自分が生きる時代や社会に対する理想や、革命へ向かう意志を強化します。革命と言っても、誰かを傷つけたり搾取したりするつもりはまるでなく、個人の自由が約束された公平で公正な社会を望んでいるだけです。しかし、自由を尊重しすぎて、社会的な規範やモラルが曖昧になってしまう可能性もあります。また、夫婦や家族のあり方にも多様性が生まれる一方で、人と人とのつながりが希薄になる場合もあるでしょう。
うお座
海王星は2011~2025年のあいだ、うお座に留まります。うお座のママは社会的に弱い立場にある人への思いやりや、博愛精神を引き出します。この人のもつ愛情は人種や文化の違いを超え、境界をうやむやにしてしまうほどの無尽蔵な愛です。見聞きできる事実よりも内に秘められた真実を重んじ、宗教やスピリチュアリズムに傾倒するきらいがあります。一方で、時代の空気に染まりやすく、どのような時代や文化の中に置かれても、疑問を覚えることなく肯定してしまうでしょう。
さらに詳しく
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※天体がもつ意味や性質はここに記した内容が全てではありません。
占者や占術により解釈は異なります。
より詳しく知りたいという方は、専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。