星座と天体では、出生図における10天体を『自分』という会社で働く社員(と、会社に関係する人々)にたとえて解説しました。
その中でも、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)の位置づけは少し特殊で、個人天体のような社員でもなければ、社会天体のような明確な支援者でもなく、会社の外部から影響を及ぼすポジションにたとえることができます。
破壊や再生、権力など不可抗力的な力を司る冥王星は、たとえるなら『自分』という会社にとっての筆頭株主のような星です。
一方、拡大や発展を司る木星は、『自分』という会社をますます発展させるための資本を提供する投資家のような役割を担っています。
実際の会社では、株主と投資家がほぼ同義……という状態かもしれませんが、木星と冥王星がアスペクトを形成している状態は、筆頭株主と投資家がお互いに情報を交換し合いながら事業を進めているイメージを想像するとわかりやすいかもしれません。
木星と冥王星が吉角を成している場合、投資家(木星)と筆頭株主(冥王星)が手を組んでいるだけあって、人並み以上の経済力を手にする可能性があります。
逆に、凶角を成している場合、富や権力を追い求めすぎて、ときには法や倫理すら踏み越えてしまうかもしれません。
木星と冥王星のアスペクトを見ることで、その人の人徳やカリスマ性、財運などを読み取ることができます。
木星と冥王星が吉角(ソフトアスペクト・イージーアスペクト)
0°(コンジャンクション・合)
コンジャンクションとは簡単にいえば、2つの星がほぼ一体化しているような状態です。
拡大や発展をあらわす木星と、不可抗力的な力を司る冥王星が結びついていることから、このアスペクトをもつ人は経済的に成功する可能性が高いものの、社会的な地位や財産に並々ならぬ執着を抱く傾向があります。
権力や成功を手にするためなら手段を選ばないため、周囲からの評価も分かれそうです。
絶対的な自信と強い信念をもち、実際に大きな功績を残す人も多いものの、その自信が傲慢と見なされる場合もあります。
しかし、本人は「周りからどう見られているか」という点にあまり関心を示さないため、自分が好かれたいと思う人にだけ認められていれば、他人の評価はあまり気にならないようです。
120°(トライン)
アスペクトの種類でも解説したように、 トラインは同じエレメントの間で形成されるアスペクトです。
性格や価値観が似たもの同士、と考えるとわかりやすいでしょう。
木星と冥王星が調和しながらお互いを補い合っている状態なので、コンジャンクションほど極端な影響は出にくいです。
このアスペクトをもつ人も、社会的な権力や財力に固執する傾向はあるものの、客観的な視点から『自分の姿が他の人にどう見えているか』を判断できます。
必要があれば周囲と協調することで自らの野心を遂げるでしょう。
基本的に自信家で自己肯定感が強いという点はコンジャンクションと共通していますが、一度手にした富や財産を社会や周囲の人々に再分配する気前の良さも持ち合わせています。
そのため人望が厚く、ただの権力者ではなく偉大な人物として評価されやすい人です。
60°(セクスタイル)
セクスタイルは火と風、水と地というように、お互いを補い合うエレメント同士で形成されるアスペクトです。
コンジャンクションやトラインほど親和性は高くありませんが、そのぶんストレートな影響は出にくいでしょう。
このアスペクトをもつ人は、権力を求める姿勢と、周囲の人々に施し与える姿勢をバランスよく発揮できる人です。
落ち着きのある堂々とした態度で、組織や集団をまとめ上げるカリスマ性を備えています。
掴み取った富や財産を手元に確保するだけではなく、世の中に還元する公明正大な精神の持ち主です。
しかし、場合によっては人々から支持を得るために、気前の良さを演出するケースもあります。
万が一、裏の意図を読まれてしまった場合は、一気に信用を無くすリスクもあるでしょう。
木星と冥王星が凶角(ハードアスペクト)
180°(オポジション・衝)
オポジションはセクスタイルと同じく火と風、地と水のように親和性の高いエレメント同士で形成されるアスペクトです。
ただし、セクスタイルが少し距離を置いて隣り合っているのに対し、オポジションは真正面から向かい合っているため、緊張感のある関係になります。
たとえるなら、投資家(木星)も筆頭株主(冥王星)も共に利益を求めすぎて、やみくもに投資してしまっているような状態です。
このアスペクトをもつ人は、権力や成功を欲する気持ちが強く、ときに極端な行動に出てしまうこともあります。
周囲よりも頭一つ飛び抜けようとしてルールを破ってしまったり、場の空気を乱してしまったりすることも多いです。
派手なことが好きで、いわゆる「見せびらかし消費」に走ることもあり、自らすすんで高価なプレゼントを買ったり、人におごりたがったりする傾向が見られます。
地道や堅実といった言葉とは縁遠く、倹約や節約も苦手です。
ただし、自分の見栄や体面のためではなく、人と分け合うお金の使い方を学ぶことができれば、本物の人徳者として社会的な成功をおさめることもあるでしょう。
90°(スクエア)
スクエアは火と地、風と水など反発しあうエレメント同士で形成されるアスペクトです。
根本的な価値感や性格が異なるため、なかなかお互いの思惑がかみ合わず、ときに相手の行動や言動に横やりを入れてしまうこともあります。
コンジャンクションやオポジションのように常に干渉しあっているわけではなく、近付いたり離れたりを繰り返す不安定な関係と考えるとわかりやすいかもしれません。
このアスペクトをもつ人もオポジションと同じく、富や権力を得るためにルールや道徳を無視してしまう傾向が見られます。
思い通りにならないと突然横柄になったり、傍若無人な態度を見せたりして、周囲を困惑させてしまうでしょう。
結果として望んだものを手に入れるかわりに、人徳や信頼を失うことになってしまいます。
場合によっては周囲の怒りを買い、後々まで人間関係のトラブルを引きずってしまうかもしれません。
さらに詳しく
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※アスペクトがもつ意味や性質についてはここに記した内容が全てではありません。
占者や占術により解釈は異なります。
より詳しく知りたいという方は、専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。