星座と天体では、出生図における10天体を『自分』という会社で働く社員(と、会社に関係する人々)にたとえて解説しました。
その中でも、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)の位置づけは少し特殊で、個人天体のような社員でもなければ、社会天体のような明確な支援者でもない、会社の外部から影響を及ぼすポジションにたとえることができます。
理想や博愛精神をあらわす海王星は、たとえるなら『自分』という会社ぐるみで贔屓にしているバーやスナックのママのような星です。
一方、木星は『自分』という会社をますます発展させるための資本を提供する投資家といえるでしょう。
厳密にいえば投資家は社員というわけではありませんが、海王星と木星がアスペクトを形成している状態は、投資家(木星)がママ(海王星)の店を気に入って、足繁く通っているようなものと考えるとわかりやすいです。
木星と海王星が吉角を成している場合、投資家(木星)はママ(海王星)の夢や理想を後押しするために、惜しみなく資金を提供します。
逆に、凶角を成している場合、投資家(木星)からの支援を受けたママ(海王星)はますます夢を膨らませるものの、描く夢が大きすぎて現実と乖離していることに気が付かないかもしれません。
木星は拡大や発展、海王星は理想や博愛主義、霊感、直感などを司る星です。
木星と海王星のアスペクトを見ることで、その人の感受性や直感力、夢見る力などを読み取ることができます。
木星と海王星が吉角(ソフトアスペクト・イージーアスペクト)
0°(コンジャンクション・合)
コンジャンクションとは簡単にいえば、2つの星がほぼ一体化しているような状態です。
拡大や発展をあらわす木星と、理想や博愛精神を司る海王星が結びついていることから、このアスペクトをもつ人は、自らの夢や理想を、社会に広く知らしめる力を備えています。
論理よりも感情を重視する傾向があり、社会的に弱い立場にある人々に対して同情的です。
自ら理想とする社会を実現するために献身することを厭わず、積極的に福祉やボランティア活動に参加する人もいるでしょう。
また、芸術的な感性にも優れているため、創作活動を通して自身の夢や理想を訴えようとする人もいます。
一方で、やや空気が読めないところがあり、人によっては「思想の押し付け」ととられてしまうこともあるかもしれません。
120°(トライン)
アスペクトの種類でも解説したように、 トラインは同じエレメントの間で形成されるアスペクトです。
性格や価値観が似たもの同士、と考えるとわかりやすいでしょう。
木星と海王星が調和しながらお互いを補い合っている状態なので、コンジャンクションほど極端な影響が出ることはありません。
このアスペクトをもつ人は、人から向けられた善意を素直に受け取れる人です。
本人も非常に親切で善良な気質の持ち主なので、自然と周りに人が集まって来るでしょう。
一方で、疑うことを知らない気質を利用して、騙そうとする人も近寄って来てしまうため、付き合う相手は慎重に選ぶ必要があります。
また、コンジャンクションと同様、理想主義的な性質が強くあらわれるのも特徴です。
積極的に慈善事業を行い、社会的な成功をおさめる人もいるでしょう。
ただし、理想にばかり目が向きすぎて、金銭的な利益や損失、ライバルとの競争など、現実的な要素が見えなくなってしまうケースも多いです。
60°(セクスタイル)
セクスタイルは火と風、水と地というように、お互いを補い合うエレメント同士で形成されるアスペクトです。
コンジャンクションやトラインほど親和性は高くありませんが、そのぶんストレートな影響が出にくいでしょう。
このアスペクトをもつ人は、直感から得た判断と、客観的な要素から判断した内容をバランスよく取り入れられる人です。
勘に頼りすぎることも、理論や理屈に傾倒しすぎることもなく、複数の要素を考慮したうえで正しい決断を下すことができます。
コンジャンクションやトラインと同様、理想主義的な部分があり、現実的でシビアな思考はやや苦手です。
画家や文筆家など、直感やインスピレーションを活かせる仕事に向いています。
30°(セミセクスタイル)
セミセクスタイルは隣り合った星座で形成されるアスペクトで、火と水、地と風など反発するエレメント同士で形成される場合もあります。
影響力はセクスタイルよりもさらに控えめで、日常生活で恩恵を感じる場面はそれほど多くないかもしれません。
このアスペクトをもつ人は、ここぞという場面で勘が働き、偶発的な幸運に恵まれたり、難を逃れたりする場合があります。
また、有力者から何かと目をかけられやすく、年長者からの引き立てを受けたり、支援者があらわれたりすることも少なくありません。
木星と海王星が凶角(ハードアスペクト)
180°(オポジション・衝)
オポジションはセクスタイルと同じく火と風、地と水のように親和性の高いエレメント同士で形成されるアスペクトです。
ただし、セクスタイルが少し距離を置いて隣り合っているのに対し、オポジションは真正面から向かい合っているため、過剰な影響が出やすい関係になります。
際限なく資金を投じ続ける投資家(木星)と、どんどんお店をグレードアップしようとするするママ(海王星)・・・をイメージするとわかりやすいかもしれません。
このアスペクトをもつ人も、やはり理想主義的な傾向が強く、自らの理想とする社会に向かって邁進するのですが、なかなか実現まで至りません。
自身の思想に同調しない相手は排除してしまうため、結果的に一人で行動せざるを得なくなってしまうこともあるでしょう。
また、家族との離別を経験したり、疎遠になったりしやすいのも、このアスペクトの特徴です。
人生の中で孤独感や疎外感を感じる機会が多いものの、本人は孤独をあまり苦にせず、むしろ一人の時間が確保できないと調子が狂ってしまうタイプのようです。
90°(スクエア)
スクエアは火と地、風と水など反発しあうエレメント同士で形成されるアスペクトです。
根本的な価値感や性格が異なるため、なかなかうまくかみ合いません。
くっついたり離れたりを繰り返す、不安定なアスペクトと考えるとわかりやすいでしょう。
このアスペクトをもつ人も、やはり理想主義ではあるのですが、この人が理想とする世界と、現実の世界には大きなギャップがあるようです。
しかも、本人は理想と現実が乖離していても気付かないことも多く、具体的な計画や根拠もないのに、なぜかうまくいくと思い込んだ挙句、周囲からの信用を失ってしまいます。
基本的には善良な人ではあるのですが、お人よしが過ぎて騙されることも多く、結果として疑り深くなってしまうケースもしばしばです。
150°(クィンカンクス・インコンジャンクト)
クィンカンクス(インコンジャンクト)はスクエアのように、全く親和性のない星座同士で形成されるアスペクトです。
そもそもお互いが視界に入っていないため、反発することもなければ、協調し合うこともありません。
このアスペクトをもつ人は、孤独や孤立をおそれ、世間における常識や一般論を、まるで自分の意見のように受け入れてしまう傾向が見られます。
現実の世界や社会情勢を冷静かつ客観的に把握する能力は持ち合わせているものの、どこか自分には関係ないことと一線を引いてしまっている部分があるようです。
自分が理想とする世界や社会を明確に思い描き、実現するための行動を起こすことが、この人にとって人生の課題となるでしょう。
さらに詳しく
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※アスペクトがもつ意味や性質についてはここに記した内容が全てではありません。
占者や占術により解釈は異なります。
より詳しく知りたいという方は、専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。