星座と天体では、出生図における10天体を『自分』という会社で働く社員(と、会社に関係する人々)にたとえて解説しました。
その中でも、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)の位置づけは少し特殊で、個人天体のような社員でもなければ、社会天体のような明確な支援者でもなく、会社の外部から影響を及ぼすポジションにたとえることができます。
破壊や再生、権力など不可抗力的な力を司る冥王星は、たとえるなら『自分』という会社にとっての筆頭株主のような星です。
一方、変化や改革をあらわす天王星は、『自分』という会社と競合するベンチャー企業のような役割を担っています。
天王星と冥王星がアスペクトを形成している状態は、たとえるなら筆頭株主(冥王星)が『自分』という会社だけではなく、競合であるベンチャー企業(天王星)にも出資していた……というイメージです。
天王星と冥王星が吉角を成している場合、ベンチャー企業(天王星)は筆頭株主(冥王星)の支援を受け、古い慣習や既成概念を迷わず打ち破り、改革を進めていくでしょう。
逆に、凶角を成している場合、筆頭株主(冥王星)の影響を強く受け過ぎて、古い慣習どころか常識まで大胆に壊してしまうかもしれません。
天王星と冥王星のアスペクトを見ることで、その人の社会やコミュニティに対する影響力や、変革へ向かうエネルギーなどを読み取ることができます。
天王星と冥王星が吉角(ソフトアスペクト・イージーアスペクト)
0°(コンジャンクション・合)
コンジャンクションとは簡単にいえば、2つの星がほぼ一体化しているような状態です。
改革や変化をあらわす天王星と、破壊や再生を司る冥王星が結びついていることから、このアスペクトをもつ人は古い慣習や伝統に縛られることを嫌い、より良い生き方や社会を目指して、改革をもたらそうとするでしょう。
たとえ批判や反発を受けることがあっても決して意志を曲げることはなく、人並外れた忍耐力と行動力で、目標を成し遂げてしまうでしょう。
一方で、新しい社会や価値観を創造するためなら、闘争や対立、分裂すらいとわない激しさも秘めているようです。
自らすすんで社会活動やデモに身を投じる場合もあります。
120°(トライン)
アスペクトの種類でも解説したように、 トラインは同じエレメントの間で形成されるアスペクトです。
性格や価値観が似たもの同士、と考えるとわかりやすいでしょう。
天王星と冥王星が調和しながらお互いを補い合っている状態なので、コンジャンクションほど極端な影響は出にくいです。
このアスペクトをもつ人も、やはり改革への意識が強く、革新的な発想力と先進的なヴィジョンを兼ね備えています。
特に、個性やプライバシーを尊重しようとする傾向が強く、個人の自由を奪うような制度や風習には勇気をもって立ち向かっていくでしょう。
ただし、コンジャンクションほど強引かつ独裁的なスタンスで改革を押し進めることはなく、より調和的かつ建設な方法で変化をもたらそうとします。
集団をまとめる能力にも長け、多くの人から慕われる人徳とリーダーシップの持ち主です。
60°(セクスタイル)
セクスタイルは火と風、水と地というように、お互いを補い合うエレメント同士で形成されるアスペクトです。
コンジャンクションやトラインほど親和性は高くありませんが、そのぶんストレートな影響は出にくいでしょう。
このアスペクトをもつ人も、改革へ向かう意識が旺盛で、やはり不屈の意志力で目的を達成してしまうという点は、コンジャンクションやトラインと同様です。
ただし、いきなり 正面を切って制度や慣習を打ち壊そうとするような激しさはなく、目立たないところで地道な努力を重ね、間接的に影響を及ぼすことで平和的な改革を実現しようとします。
目標が達成されるまで時間はかかりますが、望んだ通りの結果がもたらされるまでは決して諦めないバイタリティと忍耐力の持ち主です。
天王星と冥王星が凶角(ハードアスペクト)
180°(オポジション・衝)
オポジションはセクスタイルと同じく火と風、地と水のように親和性の高いエレメント同士で形成されるアスペクトです。
ただし、セクスタイルが少し距離を置いて隣り合っているのに対し、オポジションは真正面から向かい合っているため、緊張感のある関係になります。
たとえるなら、筆頭株主(冥王星)が常にベンチャー企業(天王星)の動向を見張り、ことあるごとに口を挟んでくるような状態です。
もともと改革意識の強いベンチャー企業(天王星)は、筆頭株主(冥王星)の影響を受け、どんどん極端な改革に乗り出そうとします。
自発的に「変えたい、変わりたい」と望んでいるというよりは、「変わらなければならない」という強迫観念に追い立てられているというべきかもしれません。
そのため、このアスペクトをもつ人はこれといった理由や根拠もなく変化を求める傾向が見られます。
やや破滅思想に偏りやすい部分もあり、社会的な動乱や自然災害など、圧倒的かつ不可抗力的な力により社会や常識が崩壊する妄想に耽ったりすることもあるようです。
人によっては破壊的な欲求が周囲の人々や社会ではなく、自分自身に向いてしまうケースもあり、突然イメチェンをはかったり、何度も転職を繰り返したりするでしょう。
90°(スクエア)
スクエアは火と地、風と水など反発しあうエレメント同士で形成されるアスペクトです。
根本的な価値感や性格が異なるため、なかなかお互いの思惑がかみ合わず、ときに相手の行動や言動に横やりを入れてしまうこともあります。
コンジャンクションやオポジションのように常に干渉しあっているわけではなく、近付いたり離れたりを繰り返す不安定な関係と考えるとわかりやすいかもしれません。
このアスペクトをもつ人もオポジションと同じく、好んで変化を追い求める傾向が見られます。
およそ改革が必要ないと思われるほど平和な状態であっても、自らトラブルを起こして、変化せざるを得ない状況を作ることもあるようです。
むしろ、安定よりも刺激を求めることから、平穏で安定した生活よりも、不穏な状況のほうがいきいきと振る舞えるでしょう。
さらに詳しく
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※アスペクトがもつ意味や性質についてはここに記した内容が全てではありません。
占者や占術により解釈は異なります。
より詳しく知りたいという方は、専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。