星座と天体では、出生図における10天体を『自分』という会社で働く社員(と、会社に関係する人々)にたとえて解説しました。
その中でも、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)の位置づけは少し特殊で、個人天体のような社員でもなければ、社会天体のような明確な支援者でもない、会社の外部から影響を及ぼすポジションにたとえることができます。
理想や博愛精神を司る海王星は、たとえるなら『自分』という会社ぐるみで贔屓にしているバーやスナックのママのような星です。
一方、絶対的な権力や不可抗力的な力を司る冥王星は、『自分』という会社の命運を握る筆頭株主にたとえることができます。
海王星と冥王星がアスペクトを形成している状態は、『自分』という会社の社員が贔屓にしているスナックが、実は筆頭株主の行きつけだった・・・というようなイメージです。
海王星と冥王星が吉角を成している場合、筆頭株主(冥王星)の影響を受け、ママ(海王星)のインスピレーションや感受性がどんどん引き出されていくでしょう。
逆に、凶角を成している場合、ママ(海王星)が持つ『夢を見せる力』が強調されすぎて、スピリチュアルや魔術など非現実的な領域にはまり込んだり、妄想に取り憑かれたりしてしまうかもしれません。
海王星と冥王星のアスペクトに注目することで、その人の霊感や直感の強さなど、スピリチュアルな資質を読み取ることができます。
ただし、海王星と冥王星はともに動きが遅く、ひとつ隣の星座に移動するだけでも十年以上かかります。
個人というよりも、近い年代に産まれた人々全体の傾向が読み取れることから、世代天体とも呼ばれている星です。
そのため、現在生きている人の中で海王星と冥王星のアスペクトを形成しているのは、1950~2040年の間に生まれた一部の人だけでしょう。
しかも、アスペクトも60°か45°の2種類のみです。
2040年を過ぎると、次に形成されるアスペクトは120°ですが、およそ100年間は海王星と冥王星のアスペクトをもつ人は生まれてきません。
ちなみに1820年代には90°、1890年代年代には0°のアスペクトをもつ人が生まれています。
ここでは現在生きている人はもちろん、歴史上の人物のバースチャートを見る場合も対応できるよう、特に影響力が強い0°、60°、90°のアスペクトについて紹介します。
海王星と冥王星が吉角(ソフトアスペクト・イージーアスペクト)
0°(コンジャンクション・合)
コンジャンクションとは簡単にいえば、2つの星がほぼ一体化しているような状態です。
霊感や直感を司る海王星と、絶対的な権力や不可抗力的な力をあらわす冥王星が重なっていることから、このアスペクトをもつ人は神秘的なまでに冴えた直感を備えており、どこか浮世離れした雰囲気をまとっています。
時代の流れを読む能力に長け、豊かな発想力と底知れないバイタリティで、歴史に残るような大事業を成し遂げてしまいます。
『レゴブロック』で知られるレゴグループの創設者であるオーレ・キアク・クリスチャンセンや、トヨタ自動車の創設者である豊田喜一郎氏、ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝氏など、現代に至るまでその名を知られる大企業の創設者にも、0°のアスペクトをもつ人が多いです。
60°(セクスタイル)
セクスタイルは火と風、水と地というように、お互いを補い合うエレメント同士で形成されるアスペクトです。
コンジャンクションは一心同体、トラインは似た者同士だったのに対し、セクスタイルは親和性こそ高いものの、基本的な考え方は価値観は異なります。
そのため、コンジャンクションほど極端な影響が出ることは少ないでしょう。
このアスペクトをもつ人は、独特の感性の持ち主が多く、人によっては霊的な存在を感知する能力を備えていることもあります。
また、スピリチュアルな分野への関心が高く、占い師やヒーラー、チャネラーをを生業とする人も多いです。
信仰心が厚く、神社仏閣巡りを趣味としている人もいるでしょう。
海王星と冥王星が凶角(ハードアスペクト)
90°(スクエア)
スクエアは火と地、風と水など反発しあうエレメント同士で形成されるアスペクトです。
性格や価値観に通じ合うところがないため、なかなかお互いの意志が噛み合わず、相手の思考や行動に横やりを入れてしまうこともしばしばです。
常に干渉し合っているわけではなく、くっついたり離れたりを繰り返す不安定なアスペクトと考えるとわかりやすいでしょう。
このアスペクトをもつ人も、セクスタイルと同様にスピリチュアルな分野への関心が高い傾向があります。
同時に、オカルトや魔術に傾倒する素質も備えており、人によっては集団催眠や霊感商法などのトラブルに巻き込まれる危険もあるようです。
一方で、自分自身もカリスマ的な魅力で人を惹きつける才能があり、その気になれば人を騙したり、惑わせたりする側に回ることもできるでしょう。
さらに詳しく
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※アスペクトがもつ意味や性質についてはここに記した内容が全てではありません。
占者や占術により解釈は異なります。
より詳しく知りたいという方は、専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。