星座と天体では、出生図における10天体を『自分』という会社で働く社員(と、会社に関係する人々)にたとえて解説しました。
その中でも、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)の位置づけは少し特殊で、個人天体のような社員でもなければ、社会天体のような明確な支援者でもないけれど、外部から会社に影響を及ぼすポジションにたとえることができます。
理想や博愛精神をあらわす海王星は、『自分』という会社ぐるみで贔屓にしているバーやスナックのママにたとえるとわかりやすいでしょう。
お酒を飲む習慣がない人は、お気に入りのカフェのマスターや定食屋の大将に置き換えたほうがピンとくるかもしれません。
一方、月は自分の中の社長令嬢、潜在的な欲求や感情など原始的な部分を司る星です。
月と海王星がアスペクトを形成している場合、令嬢(月)はママ(海王星)のもとへ通いつめ、良くも悪くも影響を受けている状態と考えられます。
たとえば、月と海王星が吉角を成している場合、令嬢(月)はママ(海王星)の励ましやサポートを受けて、理想に燃えているかもしれません。
逆に、凶角を成している場合、令嬢(月)はママ(海王星)のお店に入り浸りで、いつもふわふわと心地良く過ごしている一方で、現実が見えていない可能性があります。
月と海王星のアスペクトを見ることで、理想との向き合い方や直感の鋭さなどを読み取ることができます。
月と海王星が吉角(ソフトアスペクト・イージーアスペクト)
0°(コンジャンクション・合)
コンジャンクションとは簡単にいえば、2つの星がほぼ一体化しているような状態です。
感情をあわらす月と、理想や博愛を司る海王星が結びついていることから、このアスペクトをもつ人は感受性が強く、同情心に厚い理想主義者となる傾向があります。
繊細で夢見がちなところはありますが、鋭いインスピレーションと豊かな想像力をもつことから、芸術方面で才能を発揮しやすいでしょう。
また、ボランティアなどの奉仕活動に関心を示すことも多いです。
一方で、想像力が豊かすぎるあまり、妄想や空想の世界に入り浸ってしまい、現実を正しく把握できなくなってしまうこともあります。
また、融合を司る海王星は、他人と自分、彼岸と此岸の境界を曖昧にしてしまう性質があります。
そのため、コンジャンクションのように海王星の影響を強く受けるアスペクトを持っている人は、霊的な現象に合いやすかったり、他人の感情に同調しすぎて心身の調子を崩してしまったりする傾向があるようです。
120°(トライン)
アスペクトの種類でも解説したように、 トラインは同じエレメントの間で形成されるアスペクトです。
性格や価値観が似たもの同士、と考えるとわかりやすいでしょう。
月と海王星が調和しながらお互いを補い合っている状態なので、コンジャンクションほど極端な影響力はありませんが、それでも海王星の感受性や博愛精神などは強くあらわれます。
このアスペクトをもつ人は、誰に対しても分け隔てなく接する、優しい心の持ち主です。
一方で、「あなたはあなた、わたしはわたし」というはっきりとした境界線意識を持つことは苦手で、本来なら他人の領域であるはずの物事まで、自分の問題として解決しようとしてしまいます。
頼みごとををされると断れない性格で、しばしばその優しさを利用されるおそれもあるため、交流する相手は慎重に選ぶべきでしょう。
60°(セクスタイル)
セクスタイルは火と風、水と地というように、お互いを補い合うエレメント同士で形成されるアスペクトです。
コンジャンクションやトラインほど親和性は高くありませんが、そのぶんストレートな影響が出にくく、海王星の同情的な性質や、現実逃避的な傾向は緩和されます。
このアスペクトをもつ人は、自らのもつ想像力に飲み込まれすぎることなく、現実と空想の間をバランスよく行ったり来たりできる人です。
イメージしたものを現実世界に引っ張り出す、形にする能力に長けているため、創作や表現の分野で活躍する可能性が高いでしょう。
また、直感力に優れ、神がかったようなひらめきやアイデアが「降りて」くることも多いです。
月と海王星が凶角(ハードアスペクト)
180°(オポジション・衝)
オポジションはセクスタイルと同じく火と風、地と水のように親和性の高いエレメント同士で形成されるアスペクトです。
ただし、セクスタイルが少し距離を置いて隣り合っているのに対し、オポジションは真正面から向かい合っているため、緊張感のある関係になります。
たとえるなら、令嬢(月)がママ(海王星)に憧れて、理想に近付くためにあれこれ頑張っているような状態です。
このアスペクトをもつ人は、自らの夢や理想を追い求めることに積極的な一方で、現実の生活が視界に入らなくなってしまう傾向があります。
スピリチュアルやオカルトに関する関心も高く、のめり込むあまりますます浮世離れした生活を送りがちになるかもしれません。
ただし、自身のもつ想像力や神秘への探求心を内側へ閉じ込めず、積極的に発信することで、外の世界とのつながりが生まれ、現実と向き合う機会も増えるでしょう。
90°(スクエア)
スクエアは火と地、風と水など反発しあうエレメント同士で形成されるアスペクトです。
根本的な価値感や性格が異なるため、令嬢(月)がママ(海王星)に憧れ、近付こうとしても、どこかちぐはぐな行動を起こしてしまいます。
このアスペクトをもつ人は、やや情緒不安定な傾向が見られ、理想や空想の世界と現実の世界を行ったり来たりしながら生きているようなところがあります。
感受性が強い一方で他人の感情に影響されやすく、疑心暗鬼や被害妄想に取りつかれることも少なくないようです。
社会情勢が不安定だったり、世の中のムードが暗かったりすると、実際の生活に関係なく不安を抱いてしまい、気持ちを紛らわせるためにアルコールやドラッグに依存してしまうこともしばしばあります。
また、いわゆる霊媒体質で、心霊的な現象に遭遇したり、影響を受けたりする人が多いかもしれません。
意識して自身の性質をコントロールする術を身につけることで、精神面も生活面も暗転する可能性があります。
さらに詳しく
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※アスペクトがもつ意味や性質についてはここに記した内容が全てではありません。
占者や占術により解釈は異なります。
より詳しく知りたいという方は、専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。