星座と天体では、出生図における10天体を『自分』という会社で働く社員(と、会社に関係する人々)にたとえて解説しました。
その中でも、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)の位置づけは少し特殊で、個人天体のような社員でもなければ、社会天体のような明確な支援者でもなく、会社の外部から影響を及ぼすポジションにたとえることができます。
破壊や再生、権力など不可抗力的な力を司る冥王星は、たとえるなら『自分』という会社にとっての筆頭株主のような星です。
一方、知性やコミュニケーション能力を司る水星は、『自分』という会社の魅力を外の世界に向かってプレゼンする営業部長のような役割を担っています。
実際の会社では、筆頭株主と営業が直接関わることは珍しいかもしれませんが、たとえるなら社長どころか筆頭株主から特別に目をかけられているエリート営業マンをイメージするとわかりやすいかもしれません。
水星と冥王星が吉角を成している場合、営業(水星)は筆頭株主(冥王星)に目をかけられているだけあって、人並み外れた才能を発揮し、目覚ましい成果を上げていくでしょう。
逆に、凶角を成している場合、営業(水星)は自身の能力の限界を追い求めるあまり、常識や倫理に反した生き方を選んでしまうかもしれません。
水星と冥王星のアスペクトを見ることで、その人の集中力や洞察力、探究心の傾向などを読み取ることができます。
水星と冥王星が吉角(ソフトアスペクト・イージーアスペクト)
0°(コンジャンクション・合)
コンジャンクションとは簡単にいえば、2つの星がほぼ一体化しているような状態です。
知性やコミュニケーション能力をあらわす水星と、破壊や再生を司る冥王星が結びついていることから、このアスペクトをもつ人は、興味や関心を抱いた対象をとことん追求しようとする傾向が見られます。
卓越した集中力を武器に、知識や技術をどんどん習得していくでしょう。
特に調査や研究の分野で才能を発揮する人が多いです。
また、持ち前の分析力や洞察力を活かして戦略を練ったり、交渉や説得にあたったりするのも得意です。
探偵やジャーナリスト、営業職などにも適性があります。
ただし、限界まで突き詰めようとする性質が災いし、オーバーワークになってしまうこともあるため、人生の早い段階で自己管理能力を身につける必要があります。
120°(トライン)
アスペクトの種類でも解説したように、 トラインは同じエレメントの間で形成されるアスペクトです。
性格や価値観が似たもの同士、と考えるとわかりやすいでしょう。
水星と冥王星が調和しながらお互いを補い合っている状態なので、コンジャンクションほど極端な影響は出にくいです。
このアスペクトをもつ人は、コンジャンクションと同じく、物事の本質を突き詰めようとする性質が強くあらわれます。
意見や信念を曲げようとせず、興味をもったことは深堀りしなければ気が済まないという頑固さはありますが、並外れた集中力でひとつの分野を探究します。
また、仕事や勉強だけではなく、人とのコミュニケーションにおいても、じっくりと時間をかけて相手を深く理解しようとするでしょう。
60°(セクスタイル)
セクスタイルは火と風、水と地というように、お互いを補い合うエレメント同士で形成されるアスペクトです。
コンジャンクションやトラインほど親和性は高くありませんが、そのぶんストレートな影響は出にくいでしょう。
このアスペクトをもつ人も探究心が強いものの、コンジャンクションやトラインほど極端ではなく、然るべき場面で程よい集中力を発揮できます。
一度掲げた目標は必ずやり遂げる意志の強さを備えている一方で、自分が興味を抱いた対象でなければ追求する気が起きず、妥協もできないという頑固さもあるようです。
専門的な知識や特殊な技能を求められる仕事に向いています。
水星と冥王星が凶角(ハードアスペクト)
180°(オポジション・衝)
オポジションはセクスタイルと同じく火と風、地と水のように親和性の高いエレメント同士で形成されるアスペクトです。
ただし、セクスタイルが少し距離を置いて隣り合っているのに対し、オポジションは真正面から向かい合っているため、緊張感のある関係になります。
たとえるなら、筆頭株主(冥王星)が営業(水星)の一挙手一投足を常に見張っているような状態です。
このアスペクトをもつ人も、興味を抱いた分野は徹底的に追求したがる傾向があります。
しかし、熱中するあまり常識やモラルを無視してしまうこともあるようです。
また、物事の根底や本質に関心を惹かれやすく、人の心や社会の闇、生死に関わることなど、深刻なテーマに携わるケースもしばしば見られます。
社会に広く受け入れられるのは難しい思想の持ち主ですが、むしろモラルにとらわれないが故に、誰にも真似できないような独特の生き方を確立する人もいるでしょう。
90°(スクエア)
スクエアは火と地、風と水など反発しあうエレメント同士で形成されるアスペクトです。
根本的な価値感や性格が異なるため、筆頭株主(冥王星)は営業(水星)を思うように操作できず、営業(水星)も筆頭株主(冥王星)の思惑のすべてを的確に理解することはできません。
水星と冥王星のアスペクトをもつ人は、一様に頑固なところがありますが、スクエアの場合は特に頑なな部分が強調されます。
他人の意見を聞き入れようとしないため、知識も偏りやすいです。
攻撃的な一面もあり、自身の思想や意見を理解してくれない相手は徹底的に糾弾してしまうかもしれません。
持ち前の洞察力が裏目に出ると疑心暗鬼に陥り、偏見や劣等感に支配されてしまう可能性もあります。
考えすぎる前に一旦思考を手放し、休息をとる習慣をつけることが大切です。
さらに詳しく
アスペクトについて詳しく知りたい方にはこちらの書籍もおすすめです。
そのほかのおすすめ書籍について詳しくはこちら
※アスペクトがもつ意味や性質についてはここに記した内容が全てではありません。
占者や占術により解釈は異なります。
より詳しく知りたいという方は、専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。