星座と天体では、出生図における10天体を『自分』という会社で働く社員(と、会社に関係する人々)にたとえて解説しました。
その中でも、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)の位置づけは少し特殊で、個人天体のような社員でもなければ、社会天体のような明確な支援者でもない、会社の外部から影響を及ぼすポジションにたとえることができます。
理想や博愛精神をあらわす海王星は、『自分』という会社ぐるみで贔屓にしているバーやスナックのママにたとえるとわかりやすいでしょう。
お酒を飲む習慣がない人は、お気に入りのカフェのマスターや定食屋の大将に置き換えたほうがピンとくるかもしれません。
一方、水星は知性やコミュニケーション能力、実務能力など、どちらかといえば理性的な領域を司る星です。
水星と海王星がアスペクトを形成している場合、営業マン(水星)は相当ママ(海王星)のお店に入り浸っていると考えてよいでしょう。
水星と海王星が吉角を成している場合、営業(水星)はママ(海王星)から理性や理屈だけでは片付けられない領域 ー たとえば人の感情や直感など ー について学び、理性と感情の両方をコントロールして使いこなす、優秀な営業マンとして成長するでしょう。
逆に、凶角を成している場合、営業(水星)はママ(海王星)が振る舞うお酒の力に飲み込まれ、せっかくの知性や発想力を、虚言壁や妄想癖といった形で発揮してしまうかもしれません。
水星と海王星のアスペクトを見ることで、その人の直観力やイマジネーション、インスピレーションの傾向などを読み取ることができます。
水星と海王星が吉角(ソフトアスペクト・イージーアスペクト)
0°(コンジャンクション・合)
コンジャンクションとは簡単にいえば、2つの星がほぼ一体化しているような状態です。
知性をあらわす水星と、霊感や直観を司る海王星が結びついていることから、このアスペクトをもつ人は勘が鋭く、曖昧なイメージを言語化する才能に長けています。
小説家や脚本家、詩人、俳人など、芸術や創作の分野で大成する可能性が高いです。
また、人の感情を敏感に察知したり、分析したりするのが得意なので、心理学者や心理療法士、カウンセラーなどの職業にも適性があります。
感情をコントロールする能力に優れた人で、持ち前の言語センスを生かして自身の感情を豊かに表現することもできれば、逆に感情を完璧に抑え込むこともできます。
基本的には合理的な思考の持ち主で、すぐに感情のスイッチを切り替えられるので、「ドライな人」という評価を受けやすいかもしれません。
120°(トライン)
アスペクトの種類でも解説したように、 トラインは同じエレメントの間で形成されるアスペクトです。
性格や価値観が似たもの同士、と考えるとわかりやすいでしょう。
水星と海王星が調和しながらお互いを補い合っている状態なので、コンジャンクションほど極端な影響は出にくいでしょう。
このアスペクトをもつ人は豊かな想像力と鋭い洞察力を備え、物事を先読みする能力に長けた人です。
芸術関係の仕事はもちろん、営業や販売など、コミュニケーション能力が求められる仕事でも才能を発揮するでしょう。
流行を先取りするだけではなく、ときには自ら流行を作り出し、世の中を席巻することもあるかもしれません。
60°(セクスタイル)
セクスタイルは火と風、水と地というように、お互いを補い合うエレメント同士で形成されるアスペクトです。
コンジャンクションやトラインほど親和性は高くありませんが、そのぶんストレートな影響が出にくく、水星と海王星の特性がバランスよく発揮されます。
このアスペクトをもつ人も、やはり先見の明があります。
さまざまな人の意見や知識を取り入れ、広い視野で物事を理解しようとするでしょう。
また、理性や言語ではなかなか割り切れない、表現しきれないものを、他の人にもわかるような形で表現するのが得意です。
感受性が強く、他人が心の中に抱えている、言語化しきれないものを直観的に汲み取り、正しく理解する力も備えています。
水星と海王星が凶角(ハードアスペクト)
180°(オポジション・衝)
オポジションはセクスタイルと同じく火と風、地と水のように親和性の高いエレメント同士で形成されるアスペクトです。
ただし、セクスタイルが少し距離を置いて隣り合っているのに対し、オポジションは真正面から向かい合っているため、過剰な影響が出やすい関係になります。
ママ(海王星)が振る舞うお酒に酔いすぎて、酩酊状態にある営業(水星)・・・をイメージするとわかりやすいかもしれません。
このアスペクトをもつ人は、現実と妄想の間を漂うような生き方をしやすい傾向があります。
ぼんやりと夢ばかり見て過ごすわけではなく、夢を実現しようと知恵を絞り、奔走するのですが、ときに考えすぎて人生に迷ったり、疑心暗鬼に陥ったりすることもあるようです。
また、極端な理想主義に走りやすい面もあるので、社会になかなか馴染めず、肩身の狭い思いをするかもしれません。
自分を殺して社会に馴染もうとするよりも、芸術活動や創作活動でイマジネーションを発揮したほうが、かえって生きやすくなる可能性があります。
90°(スクエア)
スクエアは火と地、風と水など反発しあうエレメント同士で形成されるアスペクトです。
根本的な価値感や性格が異なるため、なかなかうまくかみ合わず、相手の思考や行動に横やりを入れてしまうこともしばしばです。
一方で、予想もしないような相乗効果を生み出す場合もあります。
オポジションの場合、営業(水星)が常にママ(海王星)のお酒に酔っているような状態でしたが、スクエアの場合は酩酊状態と覚醒状態を繰り返しているようなイメージです。
このアスペクトをもつ人は、イマジネーションが豊かな一方で、想像が広がりすぎて考えがまとまりにくい傾向が見られます。
ふとしたきっかけで空想や妄想にとらわれてしまうため、集中力が途切れやすく、ケアレスミスも多いでしょう。
実務能力や管理能力には欠けますが、芸術や創作など、イマジネーションを発揮できる分野では、素晴らしい功績を上げる可能性があります。
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※アスペクトがもつ意味や性質についてはここに記した内容が全てではありません。
占者や占術により解釈は異なります。
より詳しく知りたいという方は、専門家に鑑定を依頼することをおすすめします。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。